他人の心の存在をどうしてそんなに簡単に認められるのですか?

いまよりも僕がまだ色んなことを知る以前、その頃の僕がずっと気になっていたことがある。

それは僕以外の人間にも、心や意識といったものが僕と同じようにあるのかどうかという疑問だ。
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僕は死ぬまで僕で(もしかすると死んでも)、僕以外にはなれない。

これは、僕がこの世に生を受けてからいつか死ぬその日までのなかで、疑いようもなく揺るぎないことだ。

僕がどのように感じたり考えたり思ったりしているかは僕しか知らないし、僕にならない限りは他の人間は知ることができない。


たしかに、科学は発達し、人の意識や思考のメカニズムは以前よりも解明されてきている。

たとえば、赤いという視覚情報の「赤さ」そのものは、クォリアという言葉を用いて説明されたりもする。

自分が感じる「赤さ」が他人と同じ「赤さ」であるというような単純な世界認識に立つことはもうない。

とは言うものの、たとえこれから先さらに科学が発達し、心のありようが今よりも説明できるようになったとしても、心それ自体が見え、触れるようになることはないだろう。

言葉にすることで自分の感情や思考を説明することはできても、結局その感情や思考を自分以外の人間は知るすべがないのだ。


同様に僕は、僕以外の人間の思考や感情といったものを、自分の心の挙動をもとに、あくまで「想像」のうえでしかうかがい知ることはできない。

突き詰めて考えると、僕以外の人間の「心の存在」というものは、僕が死ぬまで僕であることが揺るぎないことと同じぐらい、不確かな存在のまま不確かな存在として鎮座し続ける。

(誤解しないで欲しいのだが、よく言われるような「他人の気持ちは結局他人には分からない」というような感情や共感のことを述べているのではない)


もしかすると、僕と同じように、他人にも僕が感じるような意識や心といったものがあるの“かもしれない”。

けれどもその存在は、どこまでいっても“かもしれない”という類推の域にとどまる。

僕自身は僕以外の心を、見ることも触ることも感ずることもできないからだ。

そうであるならば「僕以外の他人には心がないという」立場をとることはそれほど突拍子もない飛躍ではないはずだ。


さらに考えを進めると、他人にも僕と同じような心があるとするならば、どうして冷蔵庫や炊飯器、あるいはそこらへんに転がっている石コロに心がないと言えるのか?

他人の心の存在を認めるならば、あなたは道端に落ちている石コロにも心の存在を認めなくてはならないのだ。


けれども僕以外の人間は、あいもかわらず、自分以外の心の存在というものを何の疑いもなく自明のこととして捉えている。


なぜ彼らはそのことを疑わないのか?


ここにきていよいよ僕は、その疑いのない姿勢を前にすることで、ますます他人には僕のような心は存在していないのだという確信を強くするに至った。



あれから、10数年。

あのころ感じていた疑問はいまでも僕にうっすらと生きているが、あのときほどの熱情をもってその疑問に対峙することはもうない。

何度かこの疑問を文章にすることを試みたが、こうして文章にできたのは今回が初めてだ。

あのころは同じことを説明しても何が疑問なのかうまく説明することができず、あまつさえ理解してもらえないことを相手の理解力とセンスのなさにしていた。

我ながら危ういことを考えていたなと思うが、この危うさを感じる疑問を説明するのに10年もかかってしまったわけだ。


さて、石コロに心はあるのか?


僕はいまでもあるというスタンスです。

コメント

自分が人である認識
他人が人である認識
それが、自分の中に「有る物が同じ」という認識に繋がる

「自分の中に有る確かな物」を糧に人は「見えない何かを信じる事ができる」のだと思います。

石は人でなく。また、自分も石では無い。

私は「石に心が有る」とは思えませんし、「石に心は有る」と教えられても「それを信じる」事ができません。

自分が石で無く。また石は人でないからです。

Re: タイトルなし

僕は石が人でないことは理解してます。
他人が人であることも理解はしています。
けれども、心の存在は、いつまで経っても不確かな存在のままです。
最近ではそもそも僕自身にもあるのかしら?と思っています。

イカ型宇宙人「人間が感じることなんてほぼ同じ設計図なんだから電化製品みたいに同じじゃなイカ?」
タコ型宇宙人「石よりアンドロイドダコ!」
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34歳男子。ネザーランドドワーフと34歳女子と3人で同棲中。好きなモノは、タイ料理、カキピー(わさび味)、海外SF、ゾンビ映画、村上春樹、野宿、スパイ、自分。ブログは半径100メートル以内の出来事を忘れないようにメモっています。新卒で入ったB2B系広告会社の営業を皮切りに、Webライター、マーケッター見習い、Web広告屋、CRMマーケッターを経て、現在はダイレクトマーケティング・コンサルタントという肩書きのもと、とある通販コスメのECサイトを成功報酬モデルでプロデュース中。未知のビジネス課題をクライアントと一緒になって解決するお仕事が多いです。裏日本の豪雪、酷暑地帯出身。手先器用、口先不器用。新大阪在住。

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